NORI AND HIRO トレイル紀行

アメリカ南西部 バックカントリーの旅

JMT 準備と計画 1/1
Wilderness Trip of the Sierra Nevada and Surrounding Areas

ジョン・ミューア・トレイル ‐ 準備と計画 ‐
ウィルダネスには,自然を維持するために様々な規則が設けられているが,気に入った場所にテントを張り,キャンプファイヤーを楽しむという開拓時代からのスタイルは今も残る。バックパッカー達は,自由に歩ける喜びを感じながらも,ルールを守ることに誇りを持ち,どこへ行っても足跡しか残さない。






       ビッグホーンプラトーの丘に登ると
       ホイットニーが姿を見せる
ルールの理解
パーミットの取得


違反は罰金



ベアキャニスターや水の浄化など,細かなルールについては「トレイルガイド」または,
ヨセミテNPSウェブサイトへ
http://www.nps.gov/yose/index.htm
→ Plan Your Visit
→ Things To Do
→ Backpacking
→ Wilderness Permit
→ Food Storage
& Regulations


@ 許可証と入山枠 Wilderness Permit & Quota
・ヨセミテを始め,ジョン・ミューア・トレイルに沿った地域では,自然保護のために厳しいルールを定めている。
・バックパッキングには,パーミットとよばれる許可証が必要で,ヨセミテバレーなどにあるウィルダネスセンターで取得する。それぞれのトレイルヘッドには入山枠があり,その6割が6ヵ月前から受け付ける予約で,残りが前日の午前11時からの先着順となる。ハッピィアイルからJMTへの入山枠は1日10名なので事前予約枠が6,残りの4が先着順となる。入山枠に達していなければ,午後でも当日でも取得できる。日程にゆとりがなく予約も取れなかったらできるだけ早く来て11AMのラインに並ぶ。今まで早めに来て取れなかったことはない。

A 主な規則 Wilderness Regulations 
・熊に食料を与えないためにベアキャニスターを使う。
・水はろ過または殺菌する。激しい腹痛になる微生物ギアルデアから守るためで,携帯用の浄水器か殺菌剤を用いる。
・指定されたキャンプ場がある近くでは,そこでキャンプする。それ以外は,一定の条件がそろえばどこでもキャンプできる。例えば,今までにテントが張られた跡があり,そこが水源(湖や川)やトレイルから30m以上離れていればOKだ。
・キャンプファイヤーはヨセミテでは標高9,600フィート以下で可能。現存するファイヤーサークル(石組み)がある場所だけで,新しいファイヤーサークルを作ってはいけない。燃やす物は地面に落ちている枯れ枝のみで,ごみを燃やすことは禁止。
・トイレは深さ15pの穴を掘って行う。トイレットペーパーは埋めずに持ち帰る。ホイットニーのエリアでは,配布される携帯用のトイレを使う。
装備の軽量化
食料と水を除くバックパックの重さは20ポンド(9kg)が目安



最新の物は軽い



靴は歩きやすさ優先


毎日青空
雨具は風よけ兼用


雷雨について
ヨセミテNPSウェブサイト
Wilderness Safety
Weather
山火事は
トレイルガイド(9)
トレイル紀行P3,P28参照


一日のうちに四季がある

防寒具は最低限


工夫すれば寒さを避けることができる

B テント 
・シエラネバダで使って快適なテントは,蚊の侵入を防ぎ,防水性と通気性に優れている物。本体の下部は防水,上部や入り口はメッシュで,結露するのでフライシートとの間に十分な間隔のあるものがよい。Big Agnes Fly Creek UL1(0.73kg REI)など,本体とフライ,ポールで1kg以下の物がある。noriandhiroは,このUL2(0.99kg)を使っている。横風に弱いが設営場所に気を付ければ問題なく使える。
C 寝袋
・noriandhiroは,モンベルのダウンハガー#2と#3を使っている。普通なら#3を,ちょっと寒がりなら#2を使うのが目安だ。
D 靴
・軽くてソフトな物,歩きやすさを優先して選ぶハイカーが多い。L.L.Beanのクレスタを使って2度スルーハイクをしたが快適であった。最近では,それより軽いディハイク用のブーツを使っている。
E 雨具
・夏の降水量は少ない。2度のJMTスルーハイクでもタホリムトレイルでも,雨は一滴も降らず毎日青空。ところが一度不安定な天候になるとにわか雨が続いたり雹まじりの雨が激しく降ったりする。気温も下がり濡れたまま歩いていると低体温症になることも。雨は午後に多いため,天候が不安定な時は午前中に峠や難所を越えた方がよい。
・日程にゆとりがあれば,早めに切り上げてテントを張る。雨が降っても歩く人は,防水性と透湿性に優れた雨具があれば安心だ。
・落雷の恐れがある時は低い場所に身を隠くすか森に入ることにしている。木の下で雨宿りすることは危険で,特に高い木や単独の木からは離れること。落雷による山火事でトレイルが閉鎖されることもある。
F 防寒具
・昼間はかなり暑くなるが,日の出前は氷点下になることも。保温性があるシャツとタイツ,フリースのジャケットを用意している。持っている物をすべて着ても日の出前に起きて食事の支度をするには寒い。寒さに耐えるのが嫌な人やテントなしで寝る人,ホイットニー(4,418m)で日の出を見るならばダウンの上下が必要だと思う。
・装備を重くしたくないし寒さも我慢したくない人は,日が差し込むのを待って起きればよい。私たちは空が明るくなり始める5時に起き,7時から午後5時頃まで歩く。夏時間(daylight saving time)のカリフォルニアは午後8時過ぎまで明るいため,7時頃まで歩いても心配ない。寒くて出発が遅れたなら,その分遅くまで歩けばよい。
・谷間の草原や高い山の近くの平原は寒い。標高が高ければ気温が低いが,両側を山に挟まれた草原(メドウ)は,山から下りてきた冷気がたまり中腹より寒い。また,マーサーパスやフォレスターパスの直下の平原は峠から吹き降ろす冷たい風の通り道になっている。
・洗濯物が板のように凍る朝であれば,私たちは朝食抜きで出発し,温かくなった頃に適当な場所を見つけて食事をする。

最新のものは省エネタイプ
ガスカートリッジは各社共通











特別装備



ベアキャニスターやフードロッカーについては,
トレイルガイド (3)か,
トレイル紀行P8
または,
ヨセミテNPSウェブサイト参照

熊が現れた時の対処方法は,
トレイルガイド(4)熊に遭遇したらか,
トレイル紀行 P4参照
G 炊事用具と燃料
・ジェットボイルとかプリムスETAなど,最新のモデルはお湯がすぐに沸き省エネ性能も素晴らしい。2014年100gのカートリッジを2人で使った。朝のアルファ米とコーヒー,味噌汁,夕食のアルファ米とフリーズドライディナー,コーヒーの調理が4日分できた。1人なら1週間はもつだろう。ガスカートリッジは,REIなどで扱っている山用の物を購入すること。一般のキャンプ用は寒さでガスの出が悪くなる。
・ライト&ファーストを実践しているバックパッカー達は,エスビット(固形燃料)やペプシ缶で作った液体アルコールストーブを使っていた。ガスよりも時間はかかるが,フリーズドライ食品には完全に沸騰したお湯でなくてもよい。遅くて不便でも工夫しだいで軽くなる。
・食器はチタン製がお勧め。食器洗いに洗剤を使えないので,金属製の物が洗いやすい。プラスチック製の食器は油のぬめりがとれにくい。
H ベア‐レジスタント・フードキャニスター
・バックカントリーでは,熊に人間の食料を与えないようにするためベアキャニスターを使う。ベアキャニスターは,主にプラスチックの円筒形で,熊が壊せない強度とくわえて運べない大きさがあり,人でないと開けられない構造になっている。これに食料や食事のごみを入れ,テントから少し離れた場所に置く。
・食料はベアキャニスターか備え付けのフードロッカーに入れること。木などに吊るすことや「見張る」ことは認められていない。
・フードロッカーは鉄製の食料庫で,備え付けられている場所は限られ,JMTでは,リトルヨセミテ,ツオルムンメドウス,レッズメドウなどトレイルの序盤と,ウッズクリーク,アローヘッドレイク,レイレイクス,ローワービデッドメドウ,ビデッドメドウ,バブズクリークなどキングスキャニオン国立公園の数か所にある。
I 紫外線と乾燥
・帽子,サングラス,手袋は必需品で,長袖,長ズボンがお勧め。半袖や半ズボンの場合,日焼け止めが必要。唇や指先は特に乾燥するので注意。ほおっておくと唇から出血し,指先がひびわれする。朝はリップクリームを塗り,夜は指にオロナイン軟膏を塗って寝る。
J 蚊
・蚊は熊より強敵。熊は追い払えるが,蚊は防虫剤やネットで守るしかない。蚊は,雪解け直後の7月に多く,8月になれば少なくなる。蚊の多い場所はメドウと呼ばれる草原で,写真を撮ろうと立ち止まると蚊の大群に囲まれる。蚊は,日の出直後の1時間と日没後の1時間が最も多い。その時間に食事が重なると悲惨で,モスキートネットをかぶりながらの食事はうまくいかない。
・虫除け剤は,日本で売っているものと同じディートが主成分。その濃さで効果が続く時間が違う。アロエとかレモンエキスなど自然素材の物もあり安心して使える。虫は黒を好むため,手袋や衣類で黒は避けた方がよい。

スルーハイスルーハイクの行程例  1mile=1.6km
Day     区                 間 距離 mile 主なポイント
1 Happy Isles*1〜 Little Yosemite Valley 4
2 Sunrise High Sierra Camp 10
3 Tuolumne Medows 10 リサプライ*2
4 Rush Creek 14 Donohue Pass 3,374m
5 Thousand Island Lake 6
6 Reds Meadow 15 リサプライ*3
7 Rainbow Falls or Mammoth Lakeslakes 休息日 デイハイク または 買い物 *4
8 Purple Lake 14
9 Mono Creek 14 Silver Pass 3,276m
10 Marie Lake 12
11 Muir Trail Ranch 8 Selden Pass 3,303m リサプライ*5
12 Evolution Lake 16
13 Le Conte Canyon 14 Muir Pass 3,650m
14 Palisade Lakes 11
15 Lake Marjorie 12 Mather Pass 3,688m
16 Rae Lakes 15 Pinshot Pass 3,699m
17 Upper Bubbs Creek 11 Glen Pass 3,612m
18 Tyndall Creek 9 Forester Pass 4,023m
19 Guitar Lake 12
20 Mount Whitney 〜 Whitney Portal 13 Mount Whitney 4,418m*6
今まで20日前後で歩くスルーハイカーに最も多く出会った。次に30日ほどの人。最短は7日で歩いているペアもいた。体力や休暇の長さに合わせて様々な選択が可能だ。
*1ハッピィアイルはヨセミテバレーの奥にあるJMTの北の始点。ヨセミテへは,西海岸の主要都市からアムトラックの鉄道と連絡するバスが通じている。
*2 リサプライ=Resupplyは途中で食料などを供給すること。1回目はツオルムンメドウスの仮設郵便局に局留めで送る。平日に受け取るようにする。
*3 レッズメドウの食料雑貨店はリサプライ品を1個につき1ドルで預かってくれる。郵送可。隣に小さなレストランと公衆電話があり,シャワーとランドリーも新設された。近くのレッズメドウのキャンプ場には,バックパッカー用のスペースがある。
*4 レインボーフォールズへは,レッズメドウから片道1マイル。マンモスレイクスには,レッズメドウからシャトルバスに乗りマンモスマウンテン・スキーエリアへ,そこから市内を走るバスに乗り代え,メインストリートで降りる。大型のスーパーやショッピングモール,山用品の店も数件ある。
*5 ミューアトレイルランチは,一週間程度滞在する人向けの宿泊施設で,バックパッカーの食料を有料で預かってくれる。フローレンスレイクからのラバの便は限られるため早めに送ること。売店はあるが食品はない。そこより南はトレイルに隣接した補給施設がない。トレイルを離れるか,パッカーに届けてもらうかである。
*6 ホイットニーはJMTの南の始点。そこから登山口のホイットニーポータルまで8マイル。ポータルからふもとのローンパインまではヒッチハイクしかない。ローンパインでホテルに泊まり,翌朝一番のバスに乗れば,マンモスを経由してお昼にはヨセミテバレーに戻れる。また月・水・金曜日にはランカスター行きのバスがあり,そこからメトロリンクでロサンゼルス方面へ向かうこともできる。ローンパインのアラバマヒルズは映画のロケ地で有名で,町には映画の博物館がある。

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